元外資系マーケッターが語る戦略的マーケティング

元外資系マーケッター金泉勇次のブログ。中小企業、個人事業主、副業の学生や主婦までをサポートするビジネス・マーケティング・アドバイザーです。

買う人と買わない人を差別する。

成約率を上げる試みは、

フィルターを明確にすることでもある。

私が外資系企業でサポートをしていたとき、

あるデータに基づいて戦略を考えていた。

担当の営業にもよるが、

10社に1社は買う。

つまり勝率10%である。

逆を言えば、10社中9社は買わない。

10社の内、最終選考まで残るのは3社。

つまりファイナリストには30%でなれる。

逆を言えば、10社中7社は、まともに検討しない。

もちろん、その7社に何かが売れたことはある。

しかし大きな商談にはならず、

お情けで、消耗品などを購入して貰っただけである。

当時は消耗品でも300万円規模の商品だったが、

億単位の話をしているのに300万では話ならず、

私の評価にもならない。

さてここで重要なことは何か?

10社中9社は買わない、

10社中7社は深い検討もしない

ということである。

ここを考えると無駄な労力を削減できる。

10社にアプローチしている中で、

購入する1社を見極めることは容易では無い。

確立は10%であり、その1社に手抜きがあれば、

大切な1社を落としてしまうかも知れない。

そう考えると、10%の確立よりも、

90%の確立で見つける方が確実である。

つまり、買わない会社をふるい落とす事である。

どの会社も真面目に検討し、

その中で自分たちに適した商品を購入する。

しかし会社という仕組みは検討することも重要である。

社内の予算申請では、稟議書が必要だが、

最低でも3社の見積もりは必要になる。

そのため、最低3社の情報を得るために

参加させられることもある。

その場合は購入する企業は決まっている。

このようなケースで逆転することは極めて難しい。

もちろんいろいろな戦略があるので、

単純に敗北を決める必要は無いが、

それでも商談規模は極小化される。

こういったケースを含む負けが確定している商談がある。

負けが確定しているのに

全力で立ち向かうほどレベルの低いことは無い。

新入社員であれば、応援したいが、

入社3年目にもなっても分からないような人は、

一緒にビジネスをすることができない。

つまり、10社の中で買う1社を探すよりも、

10社の中で買わない9社を探すほうが簡単だということ

10社に対して、全て全力ではリソース配分も無い。

ほとんどの場合10社中、半数は切り捨てることができる。

これで、10%だった勝率は、20%に上がる。

作業量は半分になる。

その切り捨てるという作業に何が必要だろうか?

もしあなたが異性に対して好意があるのか、

まったく無いのか知りたい場合はどうするだろうか?

簡単な話である。

あなたの思いを伝えて、その返事を貰うだけである。

相手に告白をし、受け入れてくれるのか、

拒絶されるのか、それを確かめるということ

中途半端な会話を続けていても意味が無い。

お互いに時間の無駄である。

ビジネスであれば、

予算は用意できるのか?

期限はいつまでなのか?

本気で購入する意志があるのか?

こういったことをダイレクトに聞くべきである。

もちろんダイレクトといっても

「うちの商品をかってくれるのか」などとは聞かない。

他社とどちらが良いと思っているのか、

自社のどこが良いと思っているか、

購入したらどこに置くのか、

実稼動はいつごろが期限なのか、

他とはどこまで話が進んでいるのか、

どうすれば私どもの商品を買ってくれるのか

決定要因に対して自社の製品は、どうなのか?

などなど、

かなり答えにくい質問をぶつけることである。

多くの人は、男女間の告白のように

断られることを恐れて実行できない。

しかし断られることを恐れてはいけない。

長い付き合いになれば、相手も断りにくい。

埋め合わせはどこかでなどと言うが、

その後も気まずいことになる。

断られることで失うものは何も無い

これは間違いないことである。

異性に告白したが断られたと気にすることはない。

告白してよかったと思わないか?

すぐに次の出会いを探すことができる。

もし告白しなければ、無駄な時間を過ごし、

別の最良な人を見逃してしまうかも知れない。

同じように、買わない客に時間を浪費しない。

買わない客か本気で検討している客なのか、

ダイレクトな質問で揺さぶりをかけるべきである。

こちらから断ると意外な反応があり、

売り手と買い手は共存していることを理解できる