元外資系マーケッターが語る戦略的マーケティング

元外資系マーケッター金泉勇次のブログ。中小企業、個人事業主、副業の学生や主婦までをサポートするビジネス・マーケティング・アドバイザーです。

ラウンチプロジェクトのやり方

マーケティング部は、部門間を横断する部門である。

そのため、多くの部署から依頼があり、

多くの部署の調整をする必要がある。

特に新商品のラウンチプロジェクトは

部門間の調整が最も重要なプロジェクトである。

ラウンチプロジェクトとは、

新商品の販売加速プロジェクトのことであり、

どのような会社でも実践される。

方法はさまざまあるが、基本的な

商品情報の収集、

サポート体制の準備、

ベータユーザーの準備

ドキュメントの準備

出荷体制の準備

営業&SEの教育

メディア対応

などなど、細かく書けばきりが無いが、

こういった作業が必要になる。

実際の作業で、最も作業量が多いものは、

体制の準備と教育である。

つまり、対人間との折衝である。

サポート体制を作るためには

保守要員が必要である。

保守が可能となるためには、

レーニングが必要であり、

その間は別の仕事はできない。

私のように外資系企業であれば、

海外でトレーニングを受けることになり、

多くの時間を費やすことになる。

こういった場面で誰もが喜ぶことは無い。

保守を担当する人には別の担当もあり、

既に忙しい日々を送っている。

その人にさらに仕事を増やすのだから

それは良い顔をされない。

新商品を担当することにより給料が上がるわけでもない。

少なくとも、給料を上げるコミットを

私がすることはできない。

私からの依頼を二つ返事でOKすることは無い。

営業&SE向けのトレーニングも同じである。

業界でも画期的な商品であったり、

競争力の高い商品であれば別だが、

世の中にそんな商品が多くあるわけではない。

多くの商品はどこかの会社と競合する。

競争力が抜群に高いわけでもなく、

はっきり言えば、どんぐりの背比べである。

そんな商品を営業が喜んで売るわけも無い。

そして、新商品であるということは

トラブルのリスクもある。

ファーストユーザーはリスクが高い。

商品のトラブルだけでなく、人的トラブルもあり、

多くの場合、手間がかかる。

もちろんサポートは充実しているが、

簡単にそういう状況を受け入れてくれる客は少ない。

このようにラウンチプロジェクトは

関連各部との連携が無ければ成り立たず、

その連携能力を求められる。

ではこういった場合にどうすればよいのか?

ビジネスを続けていれば誰でも気が付くことだが、

相手にとって意味があるのか?

意味がないのか?を明確にする必要がある。

つまり相手の利益を教えてあげることである。

営業に対しては、売れる商品なのか?

どうすれば売れるのか?

販売後のリピートや増設がどの程度見込めるのか?

競合との差別化のポイントはどこなのか?

売れることや売ることに対するメリットを

説明することである。

営業はお客では無い。

商品の良し悪しでは売る売らないの判断をしない。

売ることに対して、負荷が減るのであれば売る。

たったそれだけの極めて単純な話である。

問題はサポートである。

サポートはトラブルが無ければ、仕事が無い。

トラブルがあるから、自分が存在する。

出来る限り仕事は減らしたい。

そのためにはトラブルの少ない商品の担当になる。

こういう理屈である。

しかし、そんな商品が存在するわけもなく、

本当にトラブルが少ない商品であれば、

別の担当になることは間違いない。

また保守部隊による事前検証が行われなければ、

営業も販売するスタンダードな構成が分からず、

推奨しない構成で販売する可能性がある。

そういう意味でも保守部隊による検証や、

ガイドラインの提供が必要になる。

基本的にマーケティング部門が公開するガイドライン

保守部隊の意見が重要である。

間違ってはいないが、推奨しない構成はある。

そういったものがトラブルを招き、

多くのリソースを必要とする。

営業も保守もお客様も、誰も喜ばない結果となる。

ラウンチプロジェクトは

出荷準備と言えばそれまでだが、

部門間の調整は本当に面倒な話である。

お客様の方が理解が早いと思うのは私だけだろうか?

しかし、そういったこじれた状況も

相手の利益を理解してあげることで必ず解決する。

ここには書いていないが、販売戦略も必要である。

しかし、それ以上に社内の協力は不可欠である。