元外資系マーケッターが語る戦略的マーケティング

元外資系マーケッター金泉勇次のブログ。中小企業、個人事業主、副業の学生や主婦までをサポートするビジネス・マーケティング・アドバイザーです。

買収されるということ

外資系企業は突然の買収という悲劇がある。

買収したということは何度もあった。

しかし買収された経験は1度だけである。

はっきり言って、

買収したときは、まったく気にならなかった。

相手がどんな会社で、何をしているのか?

まったく気にすることも無かった。

しかし、買収されたときは

まったく話が反対である。

単純な話、

台湾が日本に吸収されても大きな変化は無い。

しかし、日本が北朝鮮に吸収されたら

何が起きるのか想像することもできない。

日本がアメリカに吸収されるほうが

変化は少ないはずである。

私が買収された会社に在籍していたときは、

本社の買収が始まり、その後、日本の吸収が開始される。

つまり、タイムラグがあり、

アクションが発生するまでは時間がかかる。

会社のことなので、1ヶ月などという単位では無い。

それなりの規模の会社間買収であれば、

法的なこともあるので、1、2年かかる。

正式に買収されるまでは、

今までのルールを何も変えません。

査定や給料も値上げします。

「全て優遇します」というようなことを言われる。

しかし、そんなことはありえない。

当たり前のことだが、正式な買収が法的に完了し、

正式に会社が1つになると大きな変化がある。

まず、部署の統廃合である。

部署が統廃合されると

その部門に在籍した人は

移動するか、退職するか、

この2択を迫られる。

もちろん、移動を選択できるようになっているが、

移動という選択肢が無い人もいる。

事実上の解雇通知である。

しかし、それを拒否することも法的には可能であるが、

それ自体が無意味なことであることも知っている。

拒否すればどうなるか?

私が見たケースでは、

組織図に自分の名前がなくなるという状態になる。

その人はどこに行けばよいのか?

会社には在籍しているが、組織にはいない。

外資系企業では、こんな恐ろしいこともある。

その人が不幸だとは思うが、

高待遇で早期退職プログラムが出ている以上、

その段階で退職すべきである。

退職プログラムとは、

事実上の指名解雇である。

むしろ、退職したいのに、

指名解雇されない人は不幸である。

もちろん裁判を起こせば勝てる話である。

一部の人はそのような手法を使うが、

退職金を数ヶ月上乗せしてもらえれば、

良いほうだと思う。

現実的には、弁護士費用や手間を考えれば、

時間の無駄である。

勝訴しても、空しさしか残らない。

それよりも気持ちを切り替えるほうが先決である。

このように買収された会社は

本当に苦しい状況になる。

私の経験した買収は、

敵対買収でもなく、同一分野でも無い。

会社の規模が大きくなるだけでは無いかと

言われていたが、それでもこんな状態になる。

正式買収前は、嫁入りなどと言っていたが、

結婚してからは、ドメスティックバイオレンス

言う状態だろうか

最近は日本企業でも買収は行われるが、

こういった買収もひとつの経験である。

金泉勇次