元外資系マーケッターが語る戦略的マーケティング

元外資系マーケッター金泉勇次のブログ。中小企業、個人事業主、副業の学生や主婦までをサポートするビジネス・マーケティング・アドバイザーです。

マーケットシェアが意味するもの

マーケットシェアの話をしよう。

マーケットシェアは何パーセントになれば、

1位になれるだろうか?

単純な話50%を超えれば、

必ず1位になれる。

実はそうではない。

世の中は、そんなに簡単なものでは無い。

まず単純な話からはじめよう。

マーケットシェア5%ぐらいまでは、

その存在すら知られていない。

もちろん、一部のマニアには知られているが、

ほとんどの人が知らない。

この段階では、いつ消えるか分からない。

もう少し伸ばすと10%を超える。

この10%になると世の中に認知される。

誰もが知っているとは言わないが、

多くの人が知っているブランドになる。

この段階は、さらにマーケットを拡大する

可能性が極めて高いと私は考える。

もう少し進むと、15%程度になる。

ここは、非常に厳しいポジションである。

15%では、1位にはなれない。

しかし下には10%が控えている。

いつでも逆転できる状況でもある。

この15%を超えられないと

苦しい状況になるので、

ここを突破するため投資する。

さらに進むと20%を超える。

この時点でマーケットシェアが1位になる場合もある。

20%代で2社が競争する場合もあるが、

10%代で3社というケースは少ない。

もちろん瞬間的な話はあるが、

その状態は、長続きしない。

ビジネスの世界は三国志にはならない。

1社が脱落するか、合併するか、

どちらかである。

ほぼ、30%を超えればシェア1位になる。

40%になると市場の主導権をとる。

主導権とは、製品のラインナップから、

トレンド、価格帯の決定権を持つということ。

仕事がやり易くなることは言うまでも無い。

私が外資系企業にいたとき、

日本は安定していたが、

世界のシェアが20%前半まで落ちた。

競合の低価格戦略OEM戦略で

販路を拡大されたわけだが、

大規模な開発費を投入できなかったことが

最大の原因である。

まあ、そのあとに買収されたわけなので、

キャッシュフローを考えれば、

開発費という内部コストを削る作戦は

狙い通りである。

さて、マーケットシェア何パーセントが

最もワクワクするだろうか?

私は、10%では無いかと思う。

20%程度になると

守ることが重要になってきてしまう。

10%であれば、

そもそもシェアは小さいので

勝負をかけやすい。

事業としても、10%から20%への成長は、

最も楽しい時期だと思える。

逆に3%程度だと、

何をしても影響力が小さいので、

なかなか面白みが無い。

大きなマーケットで勝負する方が

なんともリスクあり、楽しめる。

逆に危険なところはどこであろうか?

10%~15%程度ではないだろうか、

下からは追われ、上からは蹴落とされ、

苦しい状況が続くことは間違いない。

しかし、上を突破しなければ、

その結果は変わらない。

つまり、15%から先は

明確に、1位のマーケットを

取りに行く必要があるということである。

それまでは、上位の前をするフォロワーでも

それなりに儲けを出すことができた。

しかし、15%もマーケットを持てば、

下位のシェアを奪うことはできない。

上位から大勢の客と奪い取らなければ、

生き残っていくことができないということである。

誤解の無いように今日の話は、

あくまで急成長の市場の話ではない。

マーケットが拡大しないのであれば、

他から奪うしかない。

奪う方法こそがマーケティングなのである。

最後に、冒頭に書いた50%を超えても

1位になれないのは、なぜか?

それは、代替品という話である。

ウォークマン(テープ)のシェアが100%になっても、

CDに移行し、ポータブルCDのシェアが100%でも、

MP3プレイヤーに変わってしまうということである。

MP3プレイヤーのシェアが100%でも

携帯で音楽を聴く人もいる。

PSPかも知れない。

マーケットシェアとは、

そんなに単純なものではない。

衰退する市場で、

シェア獲得を目指す必要は無い。

そこには残存者利益しか残っていない。

余談だが、米国検索エンジンのシェア

Googleは60%、

Yahooが20%、

MSNが、9%

役者が少なすぎて、面白みに欠ける。

これにも代替品が必要である。

金泉勇次