元外資系マーケッターが語る戦略的マーケティング

元外資系マーケッター金泉勇次のブログ。中小企業、個人事業主、副業の学生や主婦までをサポートするビジネス・マーケティング・アドバイザーです。

値段を下げるという戦略は効果があるのか?

外資系企業はサイクルが短い。

1年の結果で判断してもらえるような

やさしい外資系企業は見当たりません。

長くてもクオーター(4半期)、

1ヶ月が普通でしょう。

その間に結果を出さなければ、

そのチェックポイントは短くなり、

バイウィークリー、ウィークリー、デイリーと

プレッシャーは厳しくなってきます。

前置きが長くなりました。

パートナー販売では、すぐに値段を下げたいと言います。

つまり、チェックポイントが短くなると

短期の売り上げがほしくなるので、

値段を下げて、売ってしまおうという単純な戦略です。

しかし、値段を下げるということは、

利益が減るということです。

仕入れコストが同じであれば、

利益を削って、値引きするしかありません。

売り上げが伸びても、利益が減ると意味がありません。

その減益分を回収するには、

値引きした金額以上の売り上げが必要になります。

原価50円の商品を定価100円で売れば、50円の利益

10%の値引きで、90円で売れば、40円の利益です。

そうなると単体の利益は20%減りますので、

1.25倍以上、多く販売しなければ、

キャンペーンの効果は無かったと判断できます。

しかしながら、売り上げを達成することが優先されるという

おかしな文化があるのも外資系の特徴です。

利益率よりも売り上げ金額が重視されます。

その結果どのような状態になるかと言うと、

利益率は下がるが、見かけの数字を上げます。

多くの場合、10%値引きというような

小さな値引きではありません。

30%程度は値引きしなければ、

インパクトがありませんので、

それ以上のキャンペーンを実施します。

なぜなら、効果が無いとは、

キャンペーンによる売り上げ増が

無かったという状態です。

利益率が下がったことは問題ではありません。

30%値引きした場合、利益は60%減少します。

そうなると、単体の利益は20円になり、

2.5倍以上の売り上げが必要になります。

しかし、1.5倍であっても、

売り上げ金額は、70円×1.5倍 = 105円となり、

売り上げ高は5%増えたことになります。

こんな非常識な計算があるのかと

思われるかも知れませんが、

販売金額を達成するということが

外資系企業の最も重要なターゲットであれば、

この手段は大間違いでは無いのかも知れません。